ピュア・ボーイ Masato.1

 俺の初恋は物心ついてすぐ、相手は隣の家のきれいなお姉さんだった。
俺は4歳、お姉さんは21歳だった。
 彼女はとても儚げな美人で、ガハハと笑うお袋とは正反対。
身体もお袋の半分ほどの細さだった。
 しかし美人薄命とはよく言ったものだ。彼女は22歳で男の子を出産したが、
産後の肥立ちが悪くて呆気なくこの世を去ってしまった。

 白いベビー服にくるまれた、どこもかしこもふわふわの赤ん坊は、
祖父母の手によって大切に大切に育てられた。
名前は、杉原要(すぎはら・かなめ)。今年13歳になる中学一年生だ。

 要は、黙ってさえいれば楚々とした母親の面差しそのままに、
かなりの美少年といえた。
しかし一旦、口を開くとその毒舌に誰もが逃げ出す、恐ろしく勝ち気な少年だった。
 一人娘の忘れ形見として、祖父母から甘やかされ我が儘一杯に育った要は、
その美貌も手伝って、およそ人を思いやるということを知らない
世間知らずの子供になってしまった。
まあ、俺もその一端を担った一人なのだから偉そうなことは言えないのだが……。

「雅人兄、キャッチボールしようよ」
 夏休みの宿題に飽きた要が、遊びを強請ってきた。
「ちゃんと今日のノルマは終わったのか?」
 窓際で参考書を開いていた俺は、肩にまとわりつく要を押し退けて、
要の勉強机に歩み寄った。要らしい踊るような元気のいい文字が
ドリルに溢れていたが、よく見ると半分も終わっていない。

「なんだよ、ちっとも進んでないじゃないか」
「キャッチボールが終わったら、続きをするから、ねっ?」

 おねだりする時の癖で、小首を傾げる要は本当に可憐だった。
しかしここで負けてはいけない。キャッチボールなんかしたら、
要は疲れてすぐ眠ってしまうに決まってるんだから。

「駄目だ。これが終わるまでは、キャッチボールはしない」
 きつい口調で言い渡すと、要は途端に頬を膨らませた。
何だか、リスが頬袋一杯に食べ物を入れてるみたいで笑える。

「じゃ、いいもん、亮太とやるから」
 亮太というのは、隣町の同級生で、要が中学に入ってから仲良くなった友達だ。
童顔の要と並ぶと異様に迫力のある大人びた少年だ。
無骨で垢抜けないが、要をよく甘やかすので、いつの間にか要も懐いてしまった。

「こんな時間から隣町に行ったら、帰りは真っ暗になるぞ」
「雅人兄、迎えに来てよ」
「やだね、要が勝手に宿題をサボって遊びに行くんだから」
 意地悪く言うと、たちまち要の大きな目に涙がてんこ盛りになった。
「うっ……」

 泣くまいと懸命に涙を堪えている要の姿がいじらしくて、
俺は激しい後悔に襲われた。
 要は小学校4年の時、キャンプに出かけた山で迷子になって以来、
夜道を一人で歩いたり、一人で見知った人のいない場所へ行くのを
極度に怖れるようになったのだ。
相手に遊びに来て貰うとか、送って貰うという機転が効かない辺り、
まだまだ子供だなと思う。

「せめて後1ページやったら俺が相手をしてやるよ」
 優しい声音で妥協案を示すと、要はパッと光が散ったような
きれいな笑顔を浮かべて肯いた。
「ホントっ!? 絶対だよ?」

 嬉しそうにそそくさと席に着くと、俺が中学の入学祝いに買ってやった
シャープペンを握りしめる。あーあ、俺も甘いよなぁ。


 キャッチボールを一時間ほどして、ちょっと目を離した隙に、
予想通り、要は俺の家のソファーで寝こけてしまった。
共働きのお袋が帰ってくるのは夕方5時半だから、
それまで寝かせておいてやることにする。

 要が飲み残したアイスティーのグラスを片づけようとした時、
ドアホンが鳴った。宅配便かな、と思いながら玄関へ行くと、
クラスメートでセックスフレンドの桃花が立っていた。

「近くまで来る用事があったから、聴きたいって言ってたCDを持ってきたの」
 十日ぶりに会う桃花は日焼けして見事な小麦色の肌をしていた。
そういえば海に行くって言ってたな。

「サンキュ、上がれよ。何か冷たいものでも飲んでってくれ」
「ありがとう。喉がカラカラなの。冷たいウーロン茶ある?」

 屈託なく笑い、上がり込んできた桃花に、
俺は缶ウーロンを冷蔵庫から取り出して手渡してやった。
グラスは? なんて言わないのが桃花のいいところで、
何かにつけて手の掛かる要とは大違いだ。

「ねぇ、時間あるなら、Hしてもいいわよ」
 桃花の誘いに、俺はチラリと壁掛け時計に目をやった。
 今、4時50分。お袋が帰ってくるまで30分以上ある。
「俺の部屋へ行こう」

 チラリと頭の隅に、居間で眠っている要のことが過ぎったが、
俺は十日ぶりのセックスに夢中になってしまった。
そして、桃花を見送るため再び階下に降りた時、居間に要の姿はなかった。 

 今、思い返してみれば、要が変によそよそしくなったのはそれからだった。
事あるごとに俺の身体にじゃれついて、鬱陶しいほどだったのが、
最近はほんの少し腕がぶつかっただけでもビクリとして身を引くのだ。

 まさか中学生にもなってSEXを知らないとは思えないが、
桃花の派手な喘ぎ声が要にはショックだったのかもしれない。
俺も小学二年の時、両親のアノ時の声を聞いてしまった時は、
かなりショックだったもんな。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
スポンサーサイト

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

ピュア・ボーイ Kaname.A

 母さんは、僕が生まれて間もなく亡くなった。
父さんは、赤ん坊の僕を育てることができなくて母方の祖父母に
僕を渡したらしい。
らしいというのは、僕は父さんに会ったことがなくて、
祖父にそう言われたからだ。
 祖父母の前では、なぜか父さんの話は禁物だった。
特に祖母は父さんのことを嫌っていたから、僕は決して父さんのことを
話題にしなかった。

 僕は両親の分まで祖父母に愛されて、13才になる今日まで
何の不満もなく幸せに育った。
母さんに生き写しだと言われる僕の顔は、酷く中性的で線が細かったけど、
隣の家に住む雅人兄は、「綺麗だ」「可愛い」と事あるごとに誉めてくれた。
だから僕は、幼稚園に入園する頃には、ちょっと顎を引いて
上目遣いにおねだりすれば、欲しいものを手に入れたり、
大抵のわがままが許されることを知っていた。

 雅人兄は僕より5才年上で、スポーツ万能なだけでなく頭も良くて、
カッコ良かった。
一見クールな雅人兄が、僕にだけはとても甘くて、なんでもわがままを
きいてくれるのが、すごく誇らしかった。
 そう、あの日まで僕は、雅人兄が僕だけのものだと信じて疑わなかった。


 友達の亮太と市営プールに行った後、夏の日差しにバテた僕達は
ハンバーガーショップで休憩をした。
僕はシェイク、亮太はアイスコーヒーだ。
店内は夏休みということで何組ものカップルが楽しそうに話し込んでいた。

「僕、女の子に生まれたかったな」 
 溜息と共に呟いた僕の言葉に、亮太が眉を顰めた。
「どうしたんだよ、急に……」
 とても同年とは思えない大きな体を屈めて、僕に顔を近づける。
僕は慌てて口元を引き結んだ。

「何でもない!」
「それが何でもない顔か? 思いっきり悩んでますって顔に書いてあるぞ」
 亮太は優しい笑顔を浮かべて笑った。
「オレに話してみろよ。オレはいつだって要の味方だよ」

 確かにそれは事実だった。
亮太は、僕をイジメから守ってくれたり、何か困ったことがあると
いつも助けてくれた。
 でも、僕は話すのを躊躇った。
だって同性に恋してるなんて、親兄弟にだって簡単に話せる事じゃない。

「要、話せよ。オレ達、親友だろ?」

 親友……その言葉に僕は大きく揺さぶられた。
幼い頃から、女の子達にちやほやと甘やかされてきた僕には、
男の友達なんてできるはずもなく、亮太は生まれて初めてできた同性の友達だった。
その彼から『親友』と言われて、僕は有頂天になった。

「僕、隣の家の雅人兄が好きなんだ」
「前に要の家で会った人だろ? わかるよ、すごくカッコイイ人だもんな」

 その言葉に僕は勇気が沸いてきて、思い切って一昨日の『事件』を話した。
つまり、その……雅人兄が部屋に女の子を連れ込んでHしてたことだ。

「凄く悔しかった。だって僕が女の子だったら、雅人兄と……」
 恥ずかしくて口ごもった僕に、亮太は平然と信じられないことを言った。

「男同士だって、セックスできるんだぜ」
「えっ?」
 僕はビックリして、亮太を見つめた。


 クーラーの効いた亮太の部屋で、僕はドキドキしながら、
亮太が高校二年の従兄から借りたというゲイ雑誌を読んだ。
男同士のHは、後ろを使うなんて初めて知った。
その本によると相手をベッドに誘い込むには、まずキスが大切らしい。

 亮太は、お母さんがスナックを経営している関係で、
ホステスのお姉さんと仲良くなって、すでに初体験を済ませていたから、
経験はバッチリだ。僕は、亮太とキスの練習をすることにした。

「要、口を少し開けて」
 亮太に言われるまま目を閉じて口を開ける。
すると亮太の舌が口の中に滑り込んできて、僕の舌をつついた。
ぬるりとして生暖かくて、なんか変な感じ。
 僕は亮太を突き飛ばしたい衝動を懸命に耐えた。
だけど上顎を舐められた途端、くすぐったいような気持ちいいような
不思議な感じがして、一気に身体の力が抜けてしまった。

 たぶん、これが快感ていうものなのだろう。
僕は下半身が熱くなるのを感じた。
でも、こんなの初めてで、どうしていいかわからない。
僕はひたすら亮太にしがみついて、されるがままになっていた。

「要、おまえのに触っていいか? 手で達かせてやるよ」
 熱っぽい瞳で囁かれて、僕は訳もわからず小さく頷いた。


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

ピュア・ボーイ Masato.2

 テレビを観ていた俺が、喉の渇きを覚えて冷蔵庫の麦茶を取りに
ダイニングに行くと、専門学校に通う姉貴が一人で遅い夕食を食べていた。
バイトで遅くなったらしい。

「要くんはこの頃、遊びに来ないわね」

 俺の顔を見て、思い出したようにポツリと言った姉貴の言葉は、
刺のように俺の心に突き刺さった。
このところ要は、同年の友達と遊び回っていて、全くうちに来ていなかった。
以前は、二日と空けずに遊びに来て、頻繁に泊まっていたのに。

「中学に入ってから仲のいい友達が増えたみたいで、俺はお払い箱だよ」
 わざと自虐的に言ってみたものの、淋しさはどうしても拭い切れない。
なんだか胸の奥がチクチクと痛んだ。
「残念ねぇ、いい目の保養だったのに。
あれだけの美少年はまずお目にかかれないもの」

 溜息をついている姉貴の顔はお袋そっくりで、可愛いというより
ひょうきんな造りだ。
幸い俺は親父似で、姉貴ほど崩れちゃいない。
少々、面長だがハンサムと言える部類に入ると思う。
 俺が麦茶のグラスを持って居間に戻ろうとした時、救急車のサイレンが
聞こえてきた。こっちに近づいてくる?

「やだ、ずいぶん近いじゃない? 雅人、ちょっと見てきてよ」
 姉貴に言われて俺が玄関に出ると、要が泣きながら外に立っていた。

「要! どうしたんだ!?」
 びっくりして声を掛けると、要のきれいな顔が苦痛に歪んだ。
「おばあちゃんが……胸が苦しいって」
「ええっ!?」

 俺は慌てて要の家に飛び込んだ。
「おばさんっ!!」

 キッチンの流しの下で、要の祖母・千帆おばさんが胸を押さえて倒れていて、
祖父の重孝おじさんがオロオロと付き添っていた。
急いで駆け寄ると、すでにおばさんは意識不明だった。

 救急車には重孝おじさんが同乗し、要は俺の親父の車で姉貴に
抱きかかえられるようにして病院へ向かった。
俺とお袋は住所録を預かって、千帆おばさんの兄弟に連絡し、
留守宅を預かることになった。

 午前を回って、やっと要は親父達と一緒に帰ってきた。
おじさんは、万一に備えて病院に残ったということだ。

「雅人、あんたは今夜、こちらに泊まりなさい。
親戚の方から電話があるかもしれないし、要ちゃんひとりでは
心細いでしょうからね」

 お袋がしたり顔で言ったが、そんなこと言われなくても俺は要の側を
離れる気はなかった。
青い顔で唇を噛みしめている要は痛々しいほど憔悴していて、
放ってなんかおけなかった。

「要くん、しっかりするのよ。男の子でしょう?」
 姉貴に励まされて、要はようやく顔を上げた。
「裕子姉、おばあちゃんは死んだりしないよね?」
「きっと大丈夫よ」
 姉貴は説得力のない不安顔で言った。途端に要が涙ぐむ。
姉貴の馬鹿野郎! これじゃ、逆効果じゃないか!!
 

 何年ぶりかで俺は要のベッドの隣に布団を敷いた。
うちに要が泊まることはしょっ中だったが、俺は滅多に要のうちに泊まる
ことはなかった。
なんと言っても隣同士なのだから、要が寝付いた後、自宅に戻って自分の
ベッドで寝るのが常だった。

「要、手を繋いでてやろうか?」
 眠れず何度も寝返りを打つ要を見かねて、俺が声を掛けると、
小さな背中がピクリと震えた。

「いい。子供じゃないもん」
 不安に怯える要は充分、子供だと思ったがこんな時だから黙っておく。

「何があっても俺がついてるから、心配しなくてもいいからな」
「ほんとに? ずっと、ずっと側にいてくれる?」
「ああ!」

 俺は力強く肯いた。それから小さな沈黙が訪れ、
やがて要が消え入るような声で訊いてきた。
「雅人兄の隣にいってもいい?」
「いいよ、おいで」

 すぐさま要はベッドを降りて、俺の布団に潜り込んできた。
俺はその細い身体を優しく抱き締めてやる。
そっと要の顔を覗き込むと、要は俺の胸に頬を寄せてじっと俺を見上げていた。

 そのあまりのあどけなさに、俺は激しく動揺した。
ぷっくりとした唇が誘うように半開きになり、大きな瞳がゆっくりと
伏せられるのを、俺は息を詰めて見つめていた。

「僕、雅人兄が好き……世界中で一番好き」
「俺もだよ」

 迂闊にもこの時、俺は要の『好き』をおばあちゃんが好き、
近所のタマが好き、給食のプリンが好きってのと同次元に捉えていた。
ところが要は違ったらしい。

「じゃあキスしよう!」
 嬉しそうに瞳を輝かせると、要は俺の首に両腕を巻き付けてきた。
唖然としている間に、唇を奪われ柔らかな舌が入り込んでくる。
俺はパニックになりながら、要を突き飛ばした。
細い身体はあっけなく敷布団の上に倒れ込んだ。

「バカッ!! 俺達、男同士だぞっ!」
「知ってるよ、そんなこと。だけど男同士だってちゃんとHできるんだよ」

 生来の勝ち気さが顔を出し、要は得意そうに言った。
「どこでそんなこと覚えてきたんだ!?」
 俺は愕然とした。SEXを知らない年じゃないのはわかってるが、
同性との倒錯的なセックスを要が知っているとは思わなかったからだ。

「亮太がビデオや本を見せてくれた」
 要はケロリとした顔で言ったが、亮太と聞いて俺はギクリとした。
要と同じ中学一年とは思えない大人びた顔つきやがっしりした身体……。
数日前、千帆おばさんがうちのお袋に、要が亮太くんの家に泊まりに行って
淋しいと話していた。まさか……。

「要……亮太くんと寝たのか?」
「うん、いろいろ教えてもらった」

 その言葉に俺は金槌で殴られたようなショックを受けた。
畜生!! あのクソガキっ!! 俺の大事な要に、なんてこと教えるんだよッ!!

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村


テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

ピュア・ボーイ  Kaname.B

 僕はこのところ、毎日、亮太の家に遊びに来ている。
亮太は一人っ子で、母親とマンションに二人暮らしだ。スナックを経営している母親は、
放任主義で亮太の部屋には決して立ち入らないし、午後3時になると店の準備で出かけてしまう。
僕達は、部屋に籠もって好奇心と快感を満足させるべく、互いの身体の探検に夢中になった。

 キスをしながら、Tシャツの裾から潜り込んだ亮太の掌が、ゆっくりと僕の胸を撫で回すのを
僕は熱に浮かれた意識の片隅でぼんやりと感じていた。
亮太はぺちゃんこの胸なんか触って楽しいのかな? 僕はといえば、なんだかくすぐったいだけだ。

「んぁ……んん…ん」
 胸の突起をグリグリとこね回され、僕は思わず呻いてしまった。
痛いようなむずがゆいような奇妙な感じ。それが気持ちいいとわかるまでしばらくかかった。
アソコがわずかに勃ちあがったのを感じて、僕はようやくそれが快感なのだと認識した。

「やだっ、亮太! そんなとこ、触るな!」
「なんで?  気持ちいいだろ? ほら、ここ勃ち上がってる」

 短パンの上から、やんわりとペニスを握り込まれて僕は小さく喘いだ。
「ここならいいのか? じゃあ今日は口でしてやるよ」
「え…?」

 口でするって、何を? 訊こうと思った途端、亮太が僕のペニスを口に含んだ。
あまりのことにビックリして目を白黒させているうちに、亮太がぴちゃぴちゃと卑わいな音を立てて
舐めしゃぶりだした。一気にそこへと血液が流れ込んでいく。

「りょ…りょうたッ、ダメッ……ぅああッ!!」
 僕は瞬く間に登り詰めて、あっけなく射精した。
亮太は器用にすんでのところで口を離し、僕の白濁を大きな掌で受け止めた。
 ハアハアと荒い息で酸素を貪っていると、ティッシュで掌を清めた亮太が
自分のペニスを取り出した。

「じゃ、次は要の番だ。今、俺がやったようにすればいいんだよ」
 言われて僕は目を見張った。僕が亮太のを口でするのか!?

「ヤダ、できない!」
 僕はふるふると頭を横に振った。
「じゃあ、もう一回、お手本を見せてやるよ」
「もう、いい! こんなのヤダ!!」
「要はお子さまだなぁ。フェラぐらいできなきゃ、雅人さんを満足させてあげられないよ?」

 その一言で、僕は覚悟を決めた。恐る恐る亮太のモノに手を伸ばす。
僕のよりふた周りは立派なそれは、僕の口にはかなり大きかったけど、
<僕は勇気を振り絞って先端を口に含んだ。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村


テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

ピュア・ボーイ Masato.3

「バカヤロウッ!!」
 俺はカッとして、無意識のうちに要を平手打ちしていた。
要は打たれた頬を押さえて茫然と俺を見た。
大きな瞳に涙が溢れて大粒の涙がすべらかな頬を伝い落ちる。

「なんで怒るの? 僕、雅人兄としたいんだ。あの女の人みたいにHしたい……」
 泣きじゃくる要を前に、俺は途方に暮れていた。
元はと言えば大切な要がいる時に、桃花とセックスなんかした俺が悪いんだ。
要はそういったものに好奇心旺盛な年頃で、俺達のセックスに刺激されて危ない好奇心を
持ったからといって、責めるわけにはいかない。
 なんとか要を説得して、正しい道に戻してやらなくては大変なことになると、
冷静さを取り戻した俺は考えた。

「要、打ったりして悪かった。もう怒らないからここへおいで」
 俺は要のベッドに腰掛けて、隣を指し示した。要は黙ってそれに従った。
「要は、亮太くんのことを愛してるのか?」
 俺の質問に要の頭が大きく横に振られた。
「だったらもう亮太くんとはセックスしちゃ駄目だ。セックスは一番好きな人とするものなんだから、
自分の身体を粗末にするんじゃない」

 俺が、桃花とは身体だけの関係なのはこの際、内緒にしておく。
「うん、いいよ」
 素直にコクリと頷く要の愛らしさに俺は内心クラクラした。
桃花なんかより遙かに肌理の細かいすべらかな肌にうっとりする。
て、オイ、要に発情してる場合じゃない。

「あのな、俺は桃花と愛し合ってるからセックスするんだ。わかるな?」
「僕も雅人兄のこと、愛してる!」
 要が上目使いに訴えた。潤んだ瞳の色気は、すでに男を知ってるからだと思うと
俺は胸の奥がチリチリと痛んだ。

「要の気持ちは、愛じゃなくて独占欲だよ。俺を独り占めしたくて桃花に焼き餅を焼いてるんだ」
「でも僕は本当に雅人兄が好きなんだ! だから雅人兄とHしたいっ!!」

 要は俺を見つめて懸命に訴えた。その気迫に、俺は一瞬たじろいだが、
こればっかりは聞き入れてやるわけにはいかない。

「要も、そのうち素敵な女の子と出会って恋をすればわかる」
「でも僕は今、雅人兄とHしたいっ!!」

 駄々っ子のようにぐずる要に、俺は意を決して告げた。
「俺は、要を愛してないから抱けない」
 要の瞳がショックに見開かれた。
「わかったよ。もういい!」
 そしてパジャマの裾で涙に濡れた頬を拭うと、要は自分のベッドに潜り込んだ。

「おやすみ、要」
 俺はようやく安堵して隣の布団に横になった。一抹の淋しさと不安を胸に抱えながら……。


 千帆おばさんは、3日間生死の境を彷徨ったが、なんとか持ち直した。
しかし当分は入院生活が続くということで、俺はお袋の作った総菜をせっせと
要の食卓に運んでやった。

 あの夜から、要はますます遠い存在になった。
俺の目を見て話さなくなったし、顔を会わせても会話らしい会話もない。
このまま、距離が離れていくのかと思うと悲しかった。

 かといって要と関係を持つ気にはなれなかった。
それは近親相姦にも似たタブーを俺に強く感じさせていた。
赤ん坊の頃から知っていて、その成長を見守ってきた要は弟も同然だったからだ。

 いつものように勝手知ったる要の家の、裏庭に面した掃き出し窓を開け、
俺はダイニングを覗いた。
「要、夕食のおかずを持ってきてやったぞ」

 重孝おじさんが病院へ出かけているのは知っていたが、夏休みの宿題の
ラストスパートをかけているはずの要は出てこなかった。
昼寝でもしているのかと訝しみながら、俺は勝手に上がり込んで、テーブルの上に皿を置いた。
 シンクには汚れた食器が放置されたままだったので、俺はついでに洗っておいてやることにした。

 俺が食器を洗っていると、二階から階段を降りてくる足音がした。
物音に気づいて要が降りてきたのだ。
「雅人兄、来てたの?」

 要は酷く怠そうに呟くと、冷蔵庫から牛乳を取り出した。
それをグラスに注ぐこともせず、パックからそのまま飲む。

「行儀悪いぞ」
 およそ要らしくない行動に戸惑いながら俺が咎めると、要はほんの一瞬ちらりと俺を見た。
そして目を伏せたまま俺が差し出したコップを無言で受け取った。
その時、要のシャツの胸元にいくつもの鮮やかなキスマークを見つけて、俺は凍り付いた。
 俺の食い入るような視線から逃れようとするかのように要が顔を背けた。
それが無性に腹立たしくて、俺は拳を握りしめた。

「要、早く来いよ」
 キッチンの入口に、亮太が立っていた。要は途端に動揺して、テーブルの上に
牛乳とコップを投げ出して逃げ出した。
バタバタと慌ただしく二階に駆け上がる足音を聞きながら、俺と亮太はギリギリと睨み合っていた。

「要に何をしたんだ!?」
 ようやく俺が絞り出すように言うと、亮太はせせら笑った。
「あなたが抱かないからオレが抱くんです」
「この野郎っ!!」

 俺は相手が中学生だということも忘れて殴りかかっていた。
亮太は派手な音を立てて床に倒れ込んだが、少しもひるまず俺を睨み返してきた。

「オレが抱かなければ、要は行きずりの男に身を任せます。
それともあなたが要を抱いて悦ばせてやってくれますか?」

 挑発的な亮太の態度に俺は逆上した。殴りつけようと腕を振り上げたところに、
腹へ亮太の脚蹴りを食らって、俺は呻いて膝を折った。

「要を振ったくせに保護者面して出しゃばらないで下さい!」
 亮太は吐き捨てるように言うと、俺を残してキッチンを出て行った。
俺はしばらく茫然とそこに座り込んでいたが、やがて二階から要の啜り泣きのような声が
聞こえてきて、耳を押さえてキッチンを飛び出した。

 俺は恐ろしい後悔に捕らわれていた。 あんな奴に要を奪われたのが、
悔しくて悲しくてやるせなくて気が狂いそうだった。
 なぜ大人風を吹かせて、つまらないモラルにしがみついたりしたのだろう。
こんなことなら、あの夜、要を抱いてしまえばよかったんだ。

 だけど一度かけ間違えたボタンをどうやってはめ直したらいいのか、
どんなに考えても俺にはわからなかった。


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

ブランシェ

Author:ブランシェ
まったり更新中です。

最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

フリーエリア
リンク
QRコード
QRコード
最新コメント
月別アーカイブ
 
無料アクセス解析