ずっと君だけを―10

 避暑地に位置するだけあって、志賀高原の早朝は肌寒い。甲高い小鳥
のさえずりに目を覚ました俺は、自分がしっかりと岸森に抱き締められて眠
っていることに気づいて赤面した。

昨夜は、爆睡してしまい岸森がベッドに潜り込んで来たことにも気がつかなかった。

「ん……、おはよう」
 眠そうな目で岸森が言った。
動転した俺が身じろぎしたため、岸森まで起こしてしまったらしい。

「まだ寝てろよ」
「よく眠れたみたいだね」
「まあな」
「……する?」

 まるで朝食を食べるかどうかを尋ねるように訊かれて、俺は間抜けにも問
い返してしまった。

「え、何を?」
「……セックスに決まってんだろ。僕達はそのために、ここへ来たんだから」

 岸森の冷ややかな物言いに、俺は反射的にムッとした。

「そんな言い方しなくたっていいだろう! 昨日は観光に連れて行ってやった
じゃないか」
「だって観光でもしなけりゃ、ずっとヒロと二人きりで退屈だったんだ」
「退屈で悪かったな! 兄貴みたいに朝から晩までおまえとセックスしてろっ
ていうのか!?」
「ふん、そんな体力ないくせに」

 売り言葉に買い言葉とわかっていたが、小馬鹿にしたように言われて、俺
はすっかり頭に血が上ってしまった。

「お望み通り、ヤッてやるよ。朝から晩までな!」

 パジャマの上を脱ぎ捨てた俺を見て、ヤバイと感じた岸森はベッドから逃
げ出そうと身を翻した。しかし俺は、獣さながらの獰猛さで岸森を引き倒し
た。乱暴に岸森のパジャマを剥ぎ取ると、バックで受け入れる姿勢を取ら
せる。俺が力任せに押し入るつもりだと思った岸森は、半狂乱で叫んだ。

「ヒロ、止めて!  こんなのはイヤだッ――!!」

 恐怖でガタガタと震える身体に、俺はやっと冷静さを取り戻した。

「泣くなよ、岸森。いきなり突っ込んだりしないから安心しろ」
「な…泣いてなんか…いな……あっ、アアッ!」

 なおも意地を張る岸森の蕾に、俺はそっと舌を這わせた。緊張で張りつ
めていた身体から、みるみる力が抜けていく。

「バ…カ……、そ…んなトコ…舐め…なっ……」

 逃げようとする腰を押さえつけ、尖らせた舌で執拗にノックを繰り返すうち、
ソコは小さく蕾を綻ばせた。舌で唾液を送り込みながら指を潜り込ませる。
その途端、岸森の身体が強張った。

「力を抜けよっ」

 叱咤するように言ってみたものの、岸森は小さな子供がイヤイヤをするよ
うに首を横に振るばかりだ。これまで兄貴とヤリまくってただろうに、一向に
俺とのセックスに慣れない岸森に、俺は内心で舌打ちした。

 岸森の意識を他へ向けようと、空いている左手でペニスを扱いてやると、
少しずつ力が抜けてきた。

「ふっ……あぁ…いやぁ……」

 先端から透明な先走りを零しながら、細い嬌声を上げる。俺は辛抱強く、
指を一本から二本、二本から三本と増やし、なんとか挿入できるまで慣らす
のに一時間近くを費やした。挿入だって、岸森が協力的じゃないから、さん
ざん手間取った。

 まったく、なんて面倒なんだろう。いかに男同士のセックスが、不自然な行
為か、俺は改めて思い知らされたのだった。

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