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ずっと君だけを―35

 正月に帰省した俺は、一年ぶりに義姉と甥の一樹に会った。一樹に、
再婚相手の姓を名乗らせたいという義姉に、お袋は気丈にも同意した。

「あの子は、どうしているかしらねぇ……」
 義姉達が帰った後、お袋がポツリと呟いた。

「あの子には、本当に可哀想な事をしたわ。いい子だったのに」
「え…?」

 てっきり岸森を嫌っていると思っていたお袋から、そんな言葉が飛び
出して、俺は驚いた。

「昌美さんには一樹が残ったけど、あの子には何一つ残らなかった。
あの子は、隆之と出会ったばっかりに、高校も退学になって、ご両親からも
疎まれて、いいことなんか何にもなかったのに、隆之を本当に愛してくれたわ。
私のことも、とても大切にしてくれた。母の日や誕生日には、隆之の名前で
花束やプレゼントを贈ってくれたのよ。昌美さんは、私の誕生日がいつなのか
さえ知らないわ」

 お袋は、長い間溜め込んでいたうっぷんを晴らすかのように、一気にまくし
立てた。

「泣くなよ、みっともない。姓が変わったって、一樹が兄貴の子供であることには
変わりないんだから。それに誕生日プレゼントぐらい、俺が買ってやるよ。
いつなんだ?」
「ううっ、十月二日よ」

 いつの間にか一回り小さくなったお袋の背中を撫でながら、俺は考えていた。
俺が、岸森を愛していると言ったら、お袋はどんな顔をするだろう。やっぱり、
兄貴の時みたいに泣くんだろうか?





 東京に戻って間もなく、風邪をひいてしまった。頭痛が酷くて、鎮痛剤を飲ん
でも一向に治らない。岸森の結婚話を聞いてから、俺は度々、頭痛に悩まされ
ていたが、今回の頭痛はいつにも増して酷かった。

 できることならベッドで休んでいたかったが、岸森から会いたいと言われて
断れず、俺はバーで会うことにした。結婚を控えた岸森に、とてもじゃないが
素面で会うことなんてできなかったからだ。


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