恋人の絆―11

「念のために言っておくが、ここは病院なんだからセックスはダメだぞ」

 井上は俺達にしっかり釘を刺すのを忘れなかった。

「看護師の巡回は夜中の11時と午前3時だ。『スキンシップ』は
この時間を外してやれよ」

 ふーん、つまりそれって本番はダメでも、手や口でやるのは
オッケーてことだよな。俺は勝手に解釈して、11時の巡回が終わる
のを辛抱強く待った。

 ところが、滝本は昼間の疲れが出たのか、しっかり熟睡して
声を掛けても起きない。俺は心底がっかりして、滝本の寝顔を見つめた。

 廊下から漏れてくる蛍光灯の薄明かりでも、はっきりとわかる
目の下の大きなクマ。頬がかさかさに荒れているのは、泣いたせい? 
貧血のため土色になった唇にそっと口づけてみる。乾いて荒れた唇は
ひどく硬質だった。

「なんだよ、やっと同じ夜を過ごせるのに爆睡なんかしやがって」

 だけど俺はとても幸せだった。滝本の体温を感じられるこの場所に
いられることがこんなにも嬉しいなんて、今まで感じたことなかった。

 滝本が回復して、以前のように激しいセックスができるようになる
まで、かなり時間がかかりそうだけど、もう滝本が悲しむ顔は見たく
ないから、代わりの誰かとセックスするのは我慢しよう。

俺を死にもの狂いで欲してくれる滝本に寄り添っていられるだけで、
俺はとても満足だった。
心が満たされていれば、身体の飢えはなんとか耐えられると思う。
きっと……たぶん……。


 火、木、土、日の週4回、俺は滝本の見舞いに行った。

滝本の姉さんは、よほど俺の顔を見たくないらしく、暗黙の了解の
ように俺が行く時間帯は病室にいなかった。

 俺は、他愛ない馬鹿話をしながら、滝本の身体を拭いてやり、
時々、看護師の目を盗んで下半身の世話もしてやった。

滝本は金持ちのボンボンだから狙ってる看護師も多くて、
彼女たちはなかなか隙を与えてくれず、滝本が元気になって
きても本番なんて、とてもできなかった。

 普通なら、一ヶ月で退院できるはずだが、滝本は2回も傷口が
開いたので、なかなか傷口がくっつかなくて、一ヶ月半もかかった。

退院が決まった時は本当に嬉しくて小躍りしたい気分だった。
こんなに長く男を挿れなかったのは初めてだったから、我ながら
よく我慢したものだと感心する。

 退院の日は、お祝いにスイートとまではいかないが、夜景の
綺麗なホテルを予約した。滝本のマンションは姉さんがしっかり
居座っているし、俺のマンションは壁が薄いから激しいセックス
には向かないからだ。

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