スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ライオン・101

 翌日、大聖から事の次第を聞いた坂本は、思いっきり呆れた顔で眉を顰めた。

「幸宏がさ、笙くんに訊いたことがある。『好きなのに、そんな生殺しのような
関係で苦しくないのか』って。笙くんは、なんて答えたと思う? 『大聖さんが
生きていてくれれば、それだけで幸せです』、そう言ったそうだ。」

 弾かれたように顔を上げた大聖を、坂本は憐れむように眺めた。

「これまで、何一つおまえに逆らったこともなく、何もかもおまえの望むまま
にしてきて、あの子はそれでも、おまえに何の見返りも求めていないんだ」

 大聖は改めて自分の失言を悔いて苦しげに眉を寄せた。そんな大聖を見て、
坂本は虐めすぎたかな、と苦笑する。

「そこまで笙くんに惚れられるなんて、おまえは、たいした奴だよ」

 勇気づけるように言ってやると、大聖は途端に目を輝かせた。相変わらず
単純な男である。坂本は、やんわり諭す口調で続けた。

「笙くんは、いつまでも泣いて怯えてばかりいる子どもじゃない。そして今、
おまえは生きている。生きて、あの子の手が届くところにいるんだ」

 その瞬間、大聖の中ですべてがひっくり返された。



  『花睡』の完成試写会で、2ヶ月ぶりに顔を合わせた大聖と笙は、
決して互いに目を合わせようとしなかった。その余所余所しさは、集まった
マスコミやファンが不審がってざわつくほどのものだった。

 大聖はともかく、笙はカメラの前で笑うことすらできなかった。これでは、
世間に二人の不仲説が流れても文句は言えない。試写会に集まったファンが、
次々と二人のギクシャクとした様子をツイートしているのを見て、坂本は
苦虫を噛みつぶしたような顔をした。

「次の舞台挨拶ではもう少し愛想良く笑ってくれよ」
 笙を小早川家まで送るため二人で地下駐車場に向かいながら、坂本が笑顔で
言うと、笙はぎこちなく肯いた。
「すみません」

「ところで、社長に聞いたんだが、先週、見合いしたんだって?」
 坂本は、エレベーター前で足を止め、周囲に人がいないのを確認すると小声で訊いた。
「はい」

「君は本当にそれでいいのかい?」
 坂本の声はいつになく優しい。坂本なりに笙を気遣っているのだ。

「……はい」
 笙は居たたまれず目を伏せた。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
↑ランキングに参加していますので、ポチしていただけると励みになります(*^_^*)

前へ  目次  次へ
スポンサーサイト

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

RSSリンクの表示

最新トラックバック

プロフィール

ブランシェ

Author:ブランシェ
まったり更新中です。

最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

フリーエリア
リンク
QRコード
QRコード
最新コメント
月別アーカイブ
 
無料アクセス解析
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。