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ライオン・103

 てっきり小早川家に送り届けられるかと思いきや、笙が連れて行かれたのは
大聖のマンションだった。大聖はリビングのソファーにどっかり腰を降ろすと、
リビングの入り口で立ち尽くしている笙を見上げた。

「俺は、見合いしろなんて言ってない!」
「でも『結婚して子ども作れ』って……」

 この間の件を謝りたいと言っていたはずなのに、不機嫌そのものの大聖に、
笙は戸惑った。

「なんで普通に恋愛して結婚できないんだよっ」
「普通って何? お見合いで結婚しちゃダメなの? 勝手なことばっかり言って、
訳わかんないよっ!」
「俺だってわかんねーよ! 笙には幸せになって欲しいだけなのに!!」

 思わず笙を怒鳴りつけてしまった大聖は、泣きそうな顔をした笙を見て
我に返った。

「アホだ、俺。何やってんだろ……」

 自己嫌悪で額を押さえて蹲った大聖に、笙はそろそろと近づいてその足下に
膝を付いた。気配に大聖が顔を上げると、笙が心配そうに大聖を見ていた。

「笙には、プライドってもんはないのか?」
 ふと思いついて尋ねてみる。

「ないよ。とうの昔に大聖さんにあげちゃったもの」
 笙は微苦笑しながら即答した。

大聖は唖然と笙を凝視し、それから目を伏せると胸の内すべてを吐き尽くすように話した。

「俺、笙のこと、見くびってたんだと思う。だから、すげぇ軽いノリで
『付き合おう』って言えたんだ。けど、笙が本当は凄い奴で、俺を真剣に
愛してくれてるってわかって、怖くなった。笙の存在が重くてたまらなくなったんだ」

 大聖が俯いたまま話すのを、笙は黙って聞いていた。決して大聖が自分を
見ようとしないことからも、それが大聖の本音なのだとわかる。

「ノリと勢いで始めちまったけど、俺はずっと後悔してた。おまえは気づいて
なかったかもしれないけど、病気になるずっと前から、俺はおまえが怖かった。
おまえの若さや才能が怖くてたまらなかった」

 苦しげに告白されて、笙は頭からすうっと血の気が引いてゆくのを感じた。

「俺は、笙が考えてるほど、強くもなければ寛大でもない。それがバレて、
おまえに捨てられるのが恐ろしかった。だから、そうなる前に別れたんだ」

 大聖の端正な横顔が苦渋に歪むのを見て、笙は胸が締め付けられるように痛んだ。
自分の存在が、こんなにも大聖を苦しめていたとは想像だにしていなかった。

「気がつかなくてごめんなさい。僕は……僕は大聖さんの傍にいちゃいけなかったんだね」

 笙はのろのろと立ち上がると、一途の望みを失ったように悲痛な表情で後退った。

「僕は、ありのままの大聖さんを愛してるよ。大聖さんが、ありのままの僕を
受け入れてくれたように。だけどもう、大聖さんの前から消えるから、
僕なんかのせいで苦しまないで……」

 さよなら――笙の声は聞き取れないほど小さく掠れていたが、大聖の耳には
絶望の鐘のように大きく鳴り響いた。大聖は反射的に立ち上がり、部屋を出て
行こうとしていた笙を背後から抱きしめた。

「な、なんでこうなるんだよ!? 俺、笙に謝りたかっただけなのに、なんで
『さよなら』なんだよっ!!」
「大聖…さん?」

 訳がわからず、笙は抱きしめられたまま大聖を振り仰いだ。大聖の顔は涙で
ぐしょぐしょで、気取り屋の大聖が自分の前でこんな風になりふり構わず泣く
のを見たのは初めてだった。

 苦しい体勢のまま乱暴に唇を奪われ、性急に衣類を剥ぎ取られる。抗うことも
できず、笙は引きずられるようにしてベッドに連れ込まれた。

 大聖は熱に浮かされたように笙を抱いた。まるで堪え性のない子どものように……。
笙は黙って大聖を受け入れ、あやし、情熱のありったけで脚を絡ませた。
愛していると伝えるために――。

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